Dockerを使用している際に、「invalid argument」エラーが発生することがあります。本記事では、このエラーの発生原因とその解決策について詳しく解説します。
特に今回は、AWSのCloudShellでDockerとDcoker-Composeを使おうとして
「Error response from daemon: invalid argument」にハマったので
それについても書いていこうと思います。
現象
Dockerを使用している際、以下のようなエラーメッセージが表示されることがあります。
ERROR: process "cmd /S /C dotnet restore 'webappjishnui/webappjishnui.csproj'" did not complete successfully: unable to find user ContainerUser: invalid argument
また、以下のようなエラーも発生することがあります。
invalid argument "asia.gcr.io//nodejs:2.0" for "-t, --tag" flag: invalid reference format
これらのエラーは、主に Docker の設定ミスや環境の問題 によって引き起こされます。
さらに、今回、AWS CloudShellで以下のエラーが起きました
Error response from daemon: invalid argument
原因
「invalid argument」エラーの原因として、以下のようなものが考えられます。
① ファイルパスやディレクトリ名が長すぎる
Dockerの制限として、一部のOS(特にWindows)ではファイルパスの長さに制限があるため、長すぎるパスを指定するとエラーになることがあります。
② ソケット名が長すぎる
Dockerでは、Unixドメインソケットのパス長が制限されており、長すぎると「invalid argument」エラーが発生します。
③ 不正なDockerfileの記述
Dockerfile内で RUN
や COPY
などのコマンドを使用する際、適切な記述がされていないとエラーが発生することがあります。
④ タグ名やリポジトリ名のフォーマットミス
Dockerイメージのタグを指定する際、 --tag
の値に誤ったフォーマット(例えばスラッシュの数が多すぎるなど)を指定するとエラーが発生します。
⑤ Windowsコンテナで「ContainerUser」が見つからない
Windowsコンテナでは ContainerUser
というユーザーが存在しない場合、エラーが発生することがあります。
⑥ AWS CloudShellの容量不足
Error response from daemon: invalid argumentのエラーですが、
AWS CloudShellでコンテナを動かそうとして
docker-compose up -dを実行すると上記のエラーが発生しました。
docker, docker-composeをインストールし直しましたが、直らず・・・。
よくよく調べてみると、AWS Cloud Shellは1GBしか容量がないとのことで、
推測を含みますが、これが原因だろうというところで落ち着きました。
解決策
「invalid argument」エラーが発生した場合、以下の方法で解決できます。
① プロジェクトの階層を浅くし、ディレクトリ名を短くする
長すぎるパスが原因の場合、プロジェクトのディレクトリ構造を見直し、以下のように短くすることで解決できます。
変更前(長すぎるパス)
/home/user/projects/very_long_directory_name_containing_unnecessary_information/webapp/src
変更後(短縮後)
/home/user/projects/webapp/src
② ソケット名をカスタマイズする
ソケット名が長すぎる場合は、 DOCKER_HOST
を変更して短縮することで解決できます。
export DOCKER_HOST=unix:///tmp/docker.sock
もしくは dockerd
起動時に -H
オプションを指定します。
dockerd -H unix:///tmp/docker.sock
③ Dockerfileの記述ミスを修正する
以下のようにDockerfileの記述を見直します。
誤った記述
RUN dotnet restore “webappjishnui/webappjishnui.csproj”
正しい記述
RUN dotnet restore webappjishnui/webappjishnui.csproj
また、Windowsコンテナで ContainerUser
のエラーが発生する場合、以下のように ContainerAdministrator
を使用すると解決することがあります。
USER ContainerAdministrator
④ イメージのタグ名やリポジトリ名を修正する
タグ名のフォーマットミスを修正することでエラーを回避できます。
誤った記述
docker build -t asia.gcr.io//nodejs:2.0 .
正しい記述
docker build -t asia.gcr.io/nodejs:2.0 .
⑤ Windowsコンテナで ContainerUser
のエラーを回避する
Windowsコンテナで ContainerUser
が見つからない場合は、以下のコマンドで ContainerAdministrator
を使用することで解決できます。
USER ContainerAdministrator
もしくは、ユーザーの指定を削除して試してみることも有効です。
# USER ContainerUser (この行を削除)
⑥ EC2やCloud9など、容量を確保できる環境を用意する
AWS CloudShellもAmazon Linuxのようなので、
同じAmazon LinuxでEC2インスタンスをt2.microと容量8GBで用意しました。
そして、AWS CloudShellと同じバージョンのdocker/docker-composeを入れたところ…
なんと問題なく動きました!もちろん使ったDockerfile/docker-comopse.ymlは同じです。
まとめ
Dockerの「invalid argument」エラーは、主に パスの長さ、ソケット名、Dockerfileの記述ミス、タグ名のフォーマットミス、Windowsコンテナのユーザー設定 、環境の容量不足などが原因で発生します。
このエラーを解決するには、以下のポイントをチェックしましょう。
✅ プロジェクトのパスを短くする
✅ ソケット名を短縮する
✅ Dockerfileの記述を見直す
✅ タグ名のフォーマットを修正する
✅ Windowsコンテナで適切なユーザーを指定する
✅ AWSの容量を確保した環境を使う(EC2/Cloud9)
これらの対策を実施することで、Dockerの「invalid argument」エラーを解決し、スムーズなコンテナ開発を行うことができます。